
中学入試報告会って聞いたことありますか?
大手の進学塾では毎年2〜3月ごろに、その年度の中学入試の傾向を分析し「中学入試報告会」という場で発表しています。
中学入試報告会は、ほとんどの場合は塾生でなくても参加でき、最近ではリアルの会場だけでなくオンラインで報告会の様子を視聴することもできます。
この時に紙ベースの資料がもらえることがあるのですが、塾ごとに個性があるなーと感じました。
手元にいただいた資料があるので、この機会に各塾の入試報告会の資料について記事にしてみたいと思います。
あくまでもままんがの独断と偏見による感想文なのですが、中学入試報告会に興味がある人の参考になるかなと思います。
四谷大塚
中学入試分析報告会の名称:中学入試報告会
とにかくデータが豊富です。
編集に派手さはないのですが、中学入試のありのままの姿が伝わってきます。
中学入試結果分析資料集
各校の倍率や公表されている合格最低点、入試日(月)別の倍率などの豊富なデータを中心にまとめてあります。
データだけでなく、各年度の中学受験の情勢やトレンドについても言及があり、例えば、各校のコロナへの対応や1教科でも受験可能な学校の一覧と言ったような情報も掲載されています。
1教科受験の一覧などについては記載せずに、4教科受講につながる内容にしておいた方が四谷大塚さん的には利益につながると思うのですが、「得意教科で勝負できる」「選択肢が増えた」といった分析をそのまま載せているところに、受験生の立場に立った誠実な編集姿勢が伺えます。
理系の誠実な人がつくったのかなという印象を受ける資料集です。
中学入試レポート
難関校で出題された問題の分析を中心としたレポートです。
各校の出題傾向を過去10年分のデータとグラフを用いて比較、解析するとともに、どんな力が求められているかまでが解説されています。
また、実際に出題された入試問題からいくつかをピックアップ掲載しており、それぞれ解答とコメント付きでまとめてあります。
無料でもらっていいのかな?と思うレベルの内容で、難関校を狙うのであれば、ここに掲載されている問題を一度やってみると良いと思います。
充実した内容とは裏腹に、こちらが心配になるほど宣伝的な要素が感じられない硬派な一冊という印象です。
SAPIX
中学入試分析報告会名称:入試分析会
合格力判定資料
え、、どうしてこれが?と驚いてしまうほど上質な紙を使ったカラー刷りの資料集です。
内容は、サピックスで開催されるサピックスオープンという模試の偏差値での合格率をグラフなどを用いて、難関校中心にまとめたものになります。
サピックスオープンを絶対的な指標と考えて、難関校狙いで中学受験をする場合には参考になると思うのですが、そうでない場合には活用するのが難しそうです。
ただ、公開模試の開催日が掲載されていることもあり、サピックスの模試を受験する予定の場合には便利かなと思います。
教科別入試問題分析
難関校を中心とした各校の入試トレンドや、主要50校の倍率、前年度の受験者数の比較、合格者平均点などのデータと、実際に出題された問題をいくつかピックアップして掲載しています。
四谷大塚の中学入試レポートと方向性は同じなのですが、掲載されている問題に解答がついていないなど、読み終えた時点でもやもや感が拭えない部分があります。
サピックスのカリキュラムに含まれる類似問題を「サピックスでも勉強した」といったように比較掲載するなど、資料というよりもサピックスの宣伝といった要素が強いのかなという印象です。
日能研
中学入試分析報告会名称:オンザロード
入試分析ブック
入試日ごとの応募者数や入試結果の速報、県別の受験率(日能研推定)などが一覧になっています。
蓄積されたデータを武器に、難関校で必要になる日能研の偏差値などが掲載されているので、難関校狙いで日能研のテストを利用する場合に参考にできると思います。
中学入試問題抜粋
難関校で出題された問題をいくつかピックアップして解説してあり、それぞれの問題で必要になる力も見やすく分類してあります。
学校別・分野別難度一覧や全体的な傾向についてはグラフも併記されているなど、読みやすい構成になっています。
後述するパンフレットもですが、日能研さんの資料はより多くのデータを届けるというよりは、見やすさを重要視しているのかなという印象です。
その他の紙媒体
中学入試分析の資料的なもの以外にもいくつかのパンフレットが配布されます。
こちらは中学入試の資料や分析というよりは、日能研での学びについての広報的な内容が中心です。
情報共有広場
日能研の場合、ここまでで紹介した紙ベースの資料よりも「情報共有広場」にある情報が神です!
アクセスするためには、資料に同梱されているキーが必要になるのですが、国語の漢字や四字熟語、社会の漢字指定用語、算数の出題内容などが出題ランキング一覧になっていたりと、とりあえずこれだけはやっておいた方が良いものが一目でわかるようになっています。
実際の学習に役立つ情報しか載っていないので、活用させてもらうと良いと思います。
まとめ
四谷大塚のように配布資料にデータを盛り込んでいるところもあれば、日能研のように配布キーを使ってアクセスしたサイトでデータを公開しているといったように、各塾それぞれの手法で役立つデータをたくさん提供してくれています。
また、各塾共通しているのが難関校については多くのリソースを割いて分析・発表しており、難関校狙いの場合は通塾をすることは強力な武器になりそうだなと感じました。
ただ、逆にいうと、難関校への進学が中学受験の目的という価値観でない家庭の場合は少しずれを感じてしまうこともあるかもしれないです。
特に、中堅校であっても独自の教育方針や校風を選べる点が中学受験の醍醐味でもあると思うのですが、そういった視点からの情報はあまりなかったです。
いずれにしても中学入試分析報告会に参加すると、個人では手に入らない情報を集めることができるので積極的に参加してみてください。